取材こぼれ話
株式会社アルゴス/小片鉄工株式会社/社会福祉法人 新潟さくら会 分水いちごの実
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- 2026冬号 No.173 目次
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株式会社アルゴス
代表取締役 古川大助さん
これから出産・育児を迎える世代のために
妙高市にある株式会社アルゴスは、土木建設コンサルタントとして、道路や護岸などの設計や測量などを手掛けている会社です。雪国にある会社らしく雪氷対策技術に秀でていて、ここで働きたいという人材が全国から集まってくるそうです。
設計などが主な業務ということもあり、以前から男女を意識することなく、ふさわしい人材を採用してきたそうで、現在では女性が36.5%と建設業界としては高い女性比率となっています。技術職でも女性が活躍し、管理職にも登用されています。
働きやすい職場づくりにも積極的に取り組んでいて、その背景を古川大助社長は「技術者は一人前になるまで長い時間がかかります。社員一人ひとりが長く務められるように、多様な働き方に対応できるように努めてきました」と語ります。
ハッピー・パートナー認定を取っていたことから、新制度のNi-fulの認定も引き続き取得。現在、社員の年代構成では20代が25%を占めていて、これから結婚、出産・育児を控えている社員が多くなっています。「新卒者も毎年採用していて、今後も育児休業を取得する社員が増えていくと考えています。未来の育児休業取得者のためにも、早い段階から取得しやすい環境づくりに取り組むことができました」。
社員が育児休業に入ると、その人の分の仕事を他の社員に割り振る必要が出てきます。仕事量が偏らないようにということも、毎年の目標として各部門に伝えているそうです。「人それぞれに働き方への考えがあると思いますし、なりたい自分というのも持っていると思います。出産や病気によってキャリアが途切れることのないよう、今後も社員が働きやすい仕組みを整えていきたいと思っています」と話す古川社長。社員の皆さんが、地域の社会インフラを支えるという大切な仕事に邁進できる環境づくりがなされています。
雪氷技術センター 課長
阿部加奈恵さん
阿部さんは業界未経験から、自ら学んで専門資格を取得し、技術者に。小学生と中学生のふたりのお子さんの子育て中です。有給休暇を時間単位で取れるので、学校行事や、こどもが急に体調を崩したときなどに助かっているそうです。課長になる際は、会社から後輩の女性たちを引っ張っていってほしいとも言われたそうです。「自分も育休のときには周りの皆さんに助けていただいたので、後輩が育児休暇を取るときは、私がしっかり業務管理を引き受けたいという気持ちです」。
小片(おがた)鉄工株式会社
社長 小片龍也さん
個人を尊重しながら、全員でよりよい職場のあり方を考える
小千谷市にある小片鉄工株式会社は、蒸気ボイラやバーナーの設計、製造、施工などをワンストップで手掛けているメーカーです。従業員は18歳から82歳までと幅広く、平均年齢は40代前半。26%が女性で、設計や製造の各部門でも女性が活躍しています。
小片鉄工では社員個人の特性を引き出し、得意なとこを伸ばしていくことを大切にしていると話す小片社長。「社内ではいつも『どうしたら働きやすい会社になるのか』という話をしているのですが、社員主導でチームを作って業務課題や環境改善に取り組んでくれています。例えば、社員食堂も食堂改善チームからの提案で、ミーティングや終業後のレクリエーションなどにも使えるような環境にリノベーションしました。経営側としてはいかに風通しのよい会社にするかということを常に考えています」。
Ni-fulの取得は、女性だけで構成している活動チーム「なでしこ会議」からの提案で実現。ハッピー・パートナーの認定を取っていたので、時代に即した変化は取り入れていくべきとの意見でまとまりました。Ni-fulでは、チームで目指していたゴールド認定を取得。「最終的には国認定である子育てサポート企業の証、プラチナくるみんの取得も目指していると聞いています。会社としては、提案を聞いて、しかるべき体制を整えていく予定です」。
時代によって「いい会社とは」は変化していく。それを会社全体で柔軟に対応していきたいと話す小片社長。印象的だったのが、60代の社員が「娘から、『お父さんの会社ってNi-ful認定企業なんだね。これに認定されるのってすごいことなんだよ』って言われたんだ」と誇らしそうに報告してくれたというお話です。「それを聞いて、私も嬉しくなりましたね」。
また、小片社長は、これからも育児休業を取得する世代を雇用していくことが、会社の継続のためには絶対に必要なことだと話します。「就職ガイダンスの際にもNi-ful認定企業だと分かれば、安心感を持っていただけると思いますので、多くの企業の皆さんにNi-fulのことが伝わればと思います」。
総務課事務員
堀澤彩香さん
総務を担当し、なでしこ会議では社内報やホームページ制作も担当している堀澤さん。5歳と2歳のお子さんがいます。育児休暇を取得した際には、復職前や復帰後に面談の場が設けられ、安心できたといいます。「自分が戻れる場所があるのかなと不安になったりしましたが、休んでいる間も会社との繋がりを持てたことが嬉しかったです」。休むことに引けめを感じることもありましたが、上司から「今はあなたの番で、次の人の番が来たら支えてあげてね」と言われたことで、気持ちが前向きになったそうです。
社会福祉法人 新潟さくら会 分水いちごの実
施設長 山田徹さん
24時間体制の仕事だからこそ、働きやすい環境を
燕市にある分水いちごの実は、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業などの福祉サービスを展開している高齢者福祉施設です。24時間対応が必要なため、職員の負担も大きくなりますが、働く人の生活のことも考え、それぞれに合った多様な働き方ができるように改善を重ねてきました。
育児休業を取得しやすい環境を整えるきっかけとなったのは、数年前に男性職員が取得を希望したことだったそうです。施設長の山田徹さんは「そのときは私も含めて、全員が制度のことを知らなかったため、慌てて勉強しました」と振り返ります。その後は職員に対する定期的な制度の周知や、取得予定の職員に個別に説明をするなど、育児休業を取得しやすいよう配慮し、現在は男性・女性とも育休取得率100%を達成しています。
Ni-fulは、燕市の「つばめ子育て応援企業認定制度」の認定をきっかけに存在を知り、取得。「外部に対してNi-ful認定法人であることをアピールできますし、認定されることで職員のモチベーションアップにもつながるところがメリットだと思います。今後は、それが人材確保に繋がってくれたらいいなと期待しています」。
同法人では令和2年からLINEを利用して研修動画を配信し、職員が手の空いた時間に見られるようにしています。育児休業中の職員へもLINEで情報を共有したり、面談の時間を設けるなどして、復帰しやすい環境づくりにも気を配っています。このほかにも、勤務間インターバルを13時間以上取ることで体を休めるよう配慮したり、週1回のノー残業デーを実行したりして月平均残業時間2.1時間を達成するなど、働きやすい環境づくりに力を入れている同法人。
また、今後は他のNi-ful認定企業の取り組み事例を参考にしたいとのこと。
「職員の元気が利用者さんの笑顔につながり、満足いただけるサービスの提供になると思っています」
介護職員
竹内智子さん
ショートステイを担当している竹内さんは、園児と小学生のふたりのお子さんの子育てをしながら、朝から夕方までの勤務をしています。職場には子育て経験者も多くて理解があり、学校や保育園から急な連絡が来ると、“早く迎えにいってあげなさい”と送りだしてくれるそうです。「雰囲気もとてもアットホームで、職員みんな仲が良く、とても働きやすいです」と竹内さん。ほぼ毎日定時で帰ることができることで、家庭との両立もうまくいっているそうです。
機能訓練指導員
小黒巧海さん
現在0歳と2歳の子育て中で、育児休業はそれぞれ3回に分けて取得。里帰りから戻る時や、離乳食が始まるときなど、生活リズムが変わるときに合わせて2週間ずつ取ったそうです。「会社からは、妻の妊娠を報告したところ、すぐに育休制度の説明がありました。子育て経験者が多い職場なのでとても理解があり、気兼ねすることなく休めるのがありがたかったです。」育児休業中は24時間一緒にいて、こどもの細かい成長にも気づける喜びがあったと話す小黒さん。普段も定時で帰れるので、一緒に遊んだり、入浴するなど、ふれあいの時間を多く持てているそうです。

